平成29年度
特別講演会

『逃げ恥』ヒットの仕掛けを聞く
~楽しみ方は視聴者に見つけてもらう~
㈱TBSテレビ プロデューサー 那須田 淳氏

  •  平成29年度第2回特別講演会が、10月30日、「『逃げ恥』ヒットの仕掛けを聞く~楽しみ方は視聴者に見つけてもらう~」を演題に、那須田 淳氏(㈱TBSテレビ プロデューサー)を招き、日比谷コンベンションホールにてインタビュー形式で開かれた。会員社、一般から約100名が参加。


     
     那須田氏は『逃げ恥』全体のトーンについて、「平日のOAだったので、連ドラらしい楽しさと見やすさを大切にし、“かわいい”のシンボルマークを丁寧にちりばめることを意識した。作品はセット美術に関連する賞も受賞したが、リアリティの追求ではなく、『自分が新婚家庭だったらこんな家に住みたいな』というドリーム感も演出した」と語った。
     また、視聴率については「『結婚』というテーマは、視聴者それぞれの立場によって異なる感情移入のポイントがある。作品に対する意見を人と共有するのはエンターテインメントの大きな楽しみ。はじめはタイムシフト視聴していた人も、SNS上で皆と語る“楽しさ”につられてリアルタイム視聴に回帰してくれたのではないか」と数値が初回以降一貫して上昇した理由を分析した。


     
     プロモーションについては、「一方的な宣伝ではスルーされるだけ。作品のキーワードも誰が何に反応するかわからないので、色々な要素を仕掛けておいた。『恋ダンス』は初回OA後の大きな反響に驚き、フルバージョンのインターネット上での公開時期を早めた。全体に、楽しそうだなという親近感を抱いてもらえることを大切にした」と話した。
     若者のテレビ視聴が変化する昨今、「コンテンツ」の大きな可能性を感じる講演となった。