50オヤジの休日
メディア事業本部
コンテンツ審査部長
大石 隆宏
ここ数年、(あまりにヘッポコなので恥ずかしい限りなのですが)月に何回かサーフィンをしています。若いころに少しだけやっていたのですが、会社を早期退職して音楽活動をはじめた同期が神奈川の海辺で一室をシェアして楽しんでいると聞き、仲間に入れてもらいました。その「アジト」をベースとしての、約20年ぶりの再チャレンジです。
アジトに集うオヤジ達は遊びには真剣。前の晩はお酒もそこそこに、夜明け前にはむっくり起きて浜へ繰り出します。ピリッと涼しい空気、印象派の画のような水面と朝陽、風や波のコンディションを(下手なりに)見極めようと浜でストレッチをしながら目を凝らし、今日こそはと胸を膨らませて沖へと漕ぎ進みます。20年忘れていた光景と感覚です。
私自身の腕前は、20年前から進歩がありません。一体全体、水の上に板を浮かべて波を滑るなんて、地上の生活に慣れ切った人間には「異次元」の世界では?波の高さや強さ崩れ方は日によって違うし、時間帯によっても刻々と変わります。そうした中、波を見極めてタイミングよく漕ぎ出し、波の勢いをうまく捉えて立ち上がり、板の縁を波の横っ腹に嚙ませたり左右の脚や指先への荷重や上半身の挙動や目線の置き方などで板を滑らかに走らせていくという複雑で連続した動作は、その1つひとつが、私にとっては言葉では表現できないほど超絶難しいのです。言葉を売りとする会社で30年働いてきた人間が、言葉で表現できない世界があることを痛感します。ほんのちょっと、1ミリでもイメージに近づけたように感じられた「気のせいのような瞬間」に、無上の喜びを感じてしまうのです。
沖で波待ちをしていると、海原の大いなる広がりを感じます。振り返ると、砂浜にたたずむカップルや子ども連れ、国道沿いの街並みや行きかう車が、ミニチュアのように見えます。あくせくとした日常から別次元に抜け出したような浮遊感も、ならではです。
海から上がればアジトの仲間と昼前からブシッと1缶。ゆったり、笑えて、あったまります。こうした一連の流れがキモチとカラダを洗い、満たしてくれるような気がひとしおなのは、20歳齢を重ねたからでしょうか?
生成AIは、私たちの暮らしに新しい次元への扉を開けたようです。若者のような瑞々しい気持ちで、新たに広がる可能性に踏み込んでいけるでしょうか。私としてはこの新次元に、空間的にも時間的にも、できるだけ広い視野で、実際にカラダを動かしながら、「温度感」を大切に向き合いたいと思います。生成AIは世界中の言葉を貪り食って、ものの数秒で「最適解なるもの」を出してきますが、そこにはカラダやキモチの「温度感」はないように思います。審査担当としては「これは絶対にマズイ!」「ここが肝なんだよ」という温度感のある助言やチューニングができるよう、トライしていきたいものです。令和の実社会でなにかしらの判断や行動ができる(すべき)立場にある身として、子どもたちの世代にどういう社会や地球を手渡していけるのか、皆さんと一緒に考えていきたいです。

