法政委員コラム

消防団のススメ

公益社団法人 日本広告審査機構
事務局次長審査部長 木村 有宏

何を隠そう、こう見えても私は消防団員です。消防団の存在はご存じの方が多いと思いますが、実際に何をしているのかはあまり知られていないのではないでしょうか。

まずは、消防団の活動内容をご紹介します。

担当エリアで火災が発生すると、消防署から団員にメールが届きます。私たちは防火服に着替え、現場へ急行します。火災現場では、消防隊員のサポートを行います。よくあるのは、現場周辺を立ち入り禁止にして、人や車の誘導を行うことです。場合によっては、消防団員も消火活動に加わることもあります。

日々の訓練も欠かせません。私の所属する消防団では、土曜日の夜と日曜日の午前中に、近隣の小学校の校庭を借りて訓練を行っています。

また、地域の防災訓練ではインストラクターとして活動しています。消防署員とともに、小中学校や町内会の防災訓練に参加し、消火器やAEDの使用方法をレクチャーしています。その他にも、神社の祭りや初詣の警備、台風時の見回り、大学病院の避難訓練の補助、小学校の花火大会の警備など、地域の安全を守るための活動を行っています。

では、なぜ消防団が必要なのでしょうか。

地方では、消防署の消防車が到着するまでに30分ほどかかる場所もあり、地元の消防団が中心となって初期消火を担っています。一方、都市部では徒歩圏内に消防署があり、1つの火災に対して10台ほどの消防車がすぐに集まるため、大規模な火災の拡大を防ぐことができます。

言うまでもなく、火災においては初期消火が極めて重要です。小火で済んでいるのは、誰かがすぐに対応しているからであり、放置すれば大火災に発展します。

また、首都直下地震のような大規模災害は、いつか必ず発生すると言われています。実際にそのような災害が起きた場合、既存の消防署や自衛隊だけでは初期消火や避難活動に対応しきれないことは、過去の事例や災害シミュレーションからも明らかです。

では、そのとき誰が皆さんやご家族を守るのでしょうか。

「守られる側より、守る側になろう」――それが入団のきっかけです。…というのは嘘で、実際は「名前だけでいいから消防団に入って!」と頼まれ、断り切れずに入団してから早10年が経ちました。家族との時間を削り、訓練後の反省会と称して酒漬けの週末を繰り返すうちに、副分団長というそれなりの立場になりました。

消防団とは、地域の防災リーダーとして、災害に備えて訓練・活動する組織です。

ここまで読んで消防団に興味を持っていただけたなら、入団は簡単です。ネットで「消防団に入るには」と検索すると、消防庁のホームページが案内されます。自宅近くの消防署の電話番号も調べられますので、「消防団に入りたい」と電話していただければ、大歓迎です。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

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